左手に上手く力が入らない50代男性〜原因は尺骨神経のトラブル
みなさん、こんにちは!JR渋谷駅徒歩5分「こりと痛みと不調の研究所」所長のケイです。
今回は左手の指に動きづらさがあり力が入りにくい、経営者の50代男性への施術をご紹介します。
「いつの日からか左手の指の動きが思わしくなく、親指と人差し指でつまもうとすると、力が抜けてしまいます。またグーパーの動きを両手同時にすると、左手が右手よりスピードが遅くなり力強さも減ってしまいます。」
彼の発言の中に、「親指と人差し指でつまもうとすると、力が抜けてしまいます」 という言葉がありました。これは尺骨神経にトラブルが起きている可能性を示唆する兆候です。両手の母指と示指で紙をつまみ、反対方向に引っ張る時に母指の第1関節が曲がってしまう『フローマンサイン』という検査があります。日常生活で同様の動作をするとそうなってしまうとも仰いました。
「腕を持ち上げていると前腕が重くだるくなってしまうし、なんとなく皮膚の感覚も鈍い気がします。」
皮膚への影響も考慮すると、運動神経だけでなく感覚神経まで問題を起こしている可能性が高いです。となると『尺骨神経麻痺』を疑います。しかし、実際に確認してみると麻痺に至るまでではないため、尺骨神経に何かしらの問題が発生しており、以下の症状があるか診ていきました。
〜肘部管症候群
肘の内側に骨や靭帯、筋肉に囲まれたトンネルがり、尺骨神経が通っています。そのトンネルを肘部管と言います。そこで神経が圧迫されることで、小指と薬指に痺れを感じたり、進行すると手のひらの小指側や親指と示指の間の筋肉が痩せ細ってきます。場合によっては、小指と薬指に変形が出てくることもあります。
主な原因として、以下のことがあげられます。
- 神経を固定している靱帯やガングリオンなどの腫瘤による圧迫
- 加齢に伴う肘の変形
- 子供時代の骨折による肘の変形
- 野球や柔道などのスポーツに起因など
〜ギヨン管症候群
神経は、手のひらの小指側の骨と靭帯に囲まれたトンネルの中を枝分かれしながら通っていて、トンネル部分をギヨン管と言います。このトンネルは非常に狭く、圧迫によって神経がダメージを受けやすいです。これをギヨン管症候群と呼んでいます。症状としては、痺れや痛み・握力の低下・細かい動作のしにくさなどが特徴です。
主な原因としては、外からの圧迫と内からの圧迫があります。
- 自転車のハンドルを長時間握る
- ハンマーや振動工具を長時間使用
- ギヨン管に出来たガングリオンや腫瘍
- 骨折・脱臼
- 筋肉の先天異常
- 手根管症候群など
〜本当の原因
彼の左手の症状が上記に当てはまるのか原因を調べてみました。左肘、前腕や手首をチェックしたところ、そこに原因はありませんでした。さらに調べを進めたところ頚部に問題があり、左頚椎の6番と7番の間で神経が圧迫されていると判明。触診や動作検査をすると硬さと動きづらさを感じます。その椎間関節を構成する靭帯に、古傷があることがわかりました。
では、古傷がいまだに治らない原因は何か調べたところ、『膵臓に問題』があったのです。彼は糖尿病を基礎疾患に持っており、糖尿病性ニューロパチーという、神経症状は出ていないものの、体の修復機能が低下していて、靭帯の回復が上手く進んでいなかったのです。
〜膵臓と頚椎へのアプローチ
先ず膵臓の回復を促すべく『起』を使ってケアをしました。それから頚椎6番と7番で構成される椎間関節の可動性を上げるために『解』と『流』を使い機能改善をしました。最後に頚神経を『通』を使って通りを良くして施術は終了です。
母指と示指に力が入り『OK』の形がしっかりできるようになりましま。グーパーをしてみあところ、右とさほど動きとスピードは変わらないところまで回復しました。また腕のだるさや感覚の鈍さもなくなり「動きやすい!」と仰っていました。今回もお力になれて嬉しい限りです!
手の痺れや筋力低下でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。