腕を引っ張ったら子どもが泣きだした!~肘内障の仕組みと整復方法
みなさんこんにちは。あまり梅雨っぽさがないですが今年の夏は暑くなるそうです。みなさんいかがお過ごしでしょうか。今日は子どもの肘の痛みについてです。
もしかしたら肘内障かもしれません
お子さんが急に走り出したりした際に、手を引っ張って引き寄せるなんてことはありませんか?子どもの行動は予測ができないので、とっさに引っ張ってしまうことはあると思います。そのとき急にお子さんが泣き出した!しかもなかなか泣き止まない!もしかしたら肘内障かもしれません。腕を動かさないで泣いていたら肘内障の可能性が高くなってきます。肘内障は慣れれば親御さんでも整復できますので、まずはその仕組みを学んでいきましょう。
肘内障の仕組みについて
肘内障は骨の形が未完成な子どもに起こる特有の症状です。2歳から小学校低学年ぐらいに発生し、特に2歳~4歳に多いといわれています。肘には輪状靭帯というわっか状の靭帯があり肘の安定性を保っています。輪状靭帯は肘の骨のくぼみ部分にはまるように存在しているのですが、子どもの場合骨の形成が不完全で、くぼみが形成しきっていないので、急な動きでその靭帯から肘が外れてしまうことがあります。
骨どうしが外れているわけではないですが、関節が正しいポジションではなくなっていますので、亜脱臼に分類されます。しかし一般的な脱臼と違って、肘内障は靭帯から少しだけずれている状態ですので、脱臼よりは比較的簡単に元の位置に戻すことができます。
多くの場合肘内障は腕を急に引っ張られた際に発生します。子供と手をつないでいて、子どもが転びそうになった、思わぬところに走り出した。そんなときに手を引っ張ったら急に泣き出したというパターンが多いです。また、自分で転んだり寝返りを打った際にも起こることがあります。
肘内障の特徴
肘内障の特徴はとにかく泣き止まないということです。さらに腕を動かさないで泣いているというようでしたら肘内障の可能性が考えられます。しかし、ここで鑑別が必要です。それは鎖骨骨折です。子どもの場合、骨がまだ柔らかいので、大人が腕を引っ張るだけでも鎖骨が曲がってしまうことがあるのです。
鎖骨骨折の場合負傷しているのは腕ではなく鎖骨(胸の上)になります。この場合子どもの両脇を持ち上げるようにすると鎖骨が刺激されるのでより一層泣きます。その場合はすぐに整形外科に連れて行ってください。鎖骨は細い骨ですので処置が遅くなると変形が残ってしまう場合があります。
肘内障の場合の整復方法
肘内障の場合の整復方法を説明していきます。
①子どもの正面に座ります
②子どもは軽く肘を曲げた状態にします
③片手で子どもの前腕をもち反対の手で肘を軽くつかみます
④このとき肘の外側に少し出っ張っているところ(小頭)があるのでそこを指で触っておきます
⑤前腕を回外(手のひらを上に返す)しながら肘を曲げていきます
⑥輪状靭帯が正しい位置にはまると、小頭を触っている指でコクッとはまる感じがわかると思います。
⑦元の位置に戻ったら腕を動かせるようになっていますので肘内障を起こしたほうの手でものをとる動きができるか確認しましょう。
再発の可能性があるため注意しましょう
肘内障を治しても痛みが治まらないときはもしかしたら肘の骨折を併発しているかもしれません。念のためレントゲンを撮ってもらいましょう。肘内障は比較的簡単に整復で来るものですが、再発の可能性があります。急に腕を引っ張るのは極力避けましょう。また、肘内障整復直後も再発しやすくなっていますので、特に気を付けましょう。
当院でも肘内障の整復は行っていますので気になった方はお気軽にご相談ください。